高齢者の睡眠、もっと心地よく。——敬老の日に考えたい、眠りのこと

2025.09.10

ねむりのnote

9月の第3月曜日は敬老の日。
大切なご家族や身近な方の健康を思うこの日に、「高齢者の睡眠」について、少しだけ立ち止まって考えてみませんか?


年齢とともに、眠りはどう変わる?

「最近、夜中に目が覚めやすくなった」「朝がどんどん早くなってきた」
そんな声、よく聞きますよね。

実は、ぐっすり眠るにも、すっきり起きるにも“エネルギー”が必要なんです。
若い頃はそのエネルギーがたっぷりあるのですが、年齢を重ねると、眠り続ける力も、起き続ける力も少しずつ減っていくと言われています。

必要な睡眠時間も短くなっていく一方で、眠りが浅くなり、日中にウトウトしてしまうことも増えてきます。
こうした変化に戸惑う方も多いのではないでしょうか。


睡眠の質を高める、ちょっとした工夫

高齢者の方が心がけていることも多いと思いますが、改めて見直したいポイントをいくつかご紹介します。

1. 「休む」と「活動」のメリハリを

夕方になると、ついウトウト…そんな経験ありませんか?
実はこの時間帯の居眠りは、夜の睡眠の質を下げてしまうことがあります。

人は、起きている間に“眠るためのエネルギー”を少しずつ貯めていると言われています。
夕方の居眠りはそのエネルギーを使ってしまうことに。どうしても眠くなる場合は、午後3時までに短めの仮眠をとるようにしてみてください。

2. 布団の中で悶々としない

寝つけない、途中で目が覚める…そんなとき、布団の中で長く過ごしていませんか?
実はそれが「不眠」のイメージを強めてしまうことも。

眠れている時間+30分を目安に布団にいるようにし、15分以上眠れそうにないときは一度布団から出るのがおすすめです。
これは「睡眠制限法」「刺激制御法」と呼ばれる方法で、眠る力を高めるための工夫のひとつです。


睡眠の質に差が出る理由とは?

高齢者の睡眠には個人差が大きくあります。
その差を生む要因のひとつが「運動習慣の有無」だと言われています。

夕方の居眠り防止もかねて、軽い運動を夕方に取り入れるのも良い習慣です。
無理のない範囲で、体を動かす時間をつくってみてください。


温度・湿度の感覚にも注意を

年齢を重ねると、暑さや寒さを感じにくくなることがあります。
体温調節機能も低下するため、「暑い・寒い」と自覚する前に、温湿度計などで環境をチェックして、早めの対策を心がけましょう。

冬の寒さは特に注意が必要です。
寒さによって呼吸器系や心血管系の疾患リスクが高まることもあり、WHOでは室温18℃以上を推奨しています。
高齢者の場合は、それ以上の室温が望ましいとされています。

これから迎える冬の夜、布団だけで寒さをしのぐのではなく、部屋全体を暖かく保つことが、健康寿命を延ばすポイントです。


水分補給は季節を問わず大切

「夜トイレに起きたくないから」と、寝る前の水分を控える方もいらっしゃいますが、
睡眠中は思っている以上に水分が失われています。

寝る前のコップ1杯の水分補給は、季節を問わず必要です。
夜間の尿量は体内リズムで自然と少なくなるようになっているため、
水分を控えるよりも、日中の生活リズムや減塩を意識することが、トイレ覚醒の対策になります。


睡眠は、生活の質そのもの

睡眠は、認知機能や生活習慣病、気分や意欲など、生活の質に深く関わっています。
高齢者の睡眠問題は、持病との関係もあるため、薬に頼る場合は飲み合わせなどにも注意が必要です。

まずは、自分でできる工夫から
「これならできそう」と思えることがあれば、ぜひ試してみてください。