芸術の秋、感性を育てる「睡眠」の話

2025.10.15

ねむりのnote

秋も深まり、空気が澄んできました。
食欲の秋、スポーツの秋、読書の秋…そして、芸術の秋。
何かに夢中になれるこの季節、心が豊かになる瞬間が増えていくような気がしますね。

今回はそんな秋にぴったりのテーマ、「芸術と睡眠」についてお届けします。


芸術を楽しむには、脳の元気が必要?

美しい絵や音楽に触れたとき、ふっと心が軽くなるような感覚、ありませんか?
芸術は、日々の緊張から私たちを解き放ち、リフレッシュさせてくれる存在です。

でもその感動をしっかり味わうには、脳が元気であることが大切。
そして、脳の元気を保つために欠かせないのが「睡眠」なんです。


睡眠不足でまず影響を受けるのは「前頭葉」

脳の中でも、芸術を感じる力に深く関わっているのが「前頭葉」。
この部位は、以下のような働きを担っています:

  • 情報の理解や計画を立てる「認知・実行」
  • やる気や感情のコントロールをする「情動・動機付け」
  • ミスを防ぐ「注意維持」
  • 記憶の整理や定着を助ける「記憶・学習」

実は、「美しい」と感じるときにも前頭葉が活性化していると言われています。
芸術に触れる意欲、感動する心、そしてその記憶を残すためにも、質の良い睡眠が欠かせないのです。


芸術家たちが見た「眠りの中の世界」

睡眠中の不思議な体験が、芸術のインスピレーションになることもあります。
たとえば、眠りに入る直前に見える幾何学模様や光、風景など。これを「入眠時心像(にゅうみんじ・しんぞう)」と呼びます。

19世紀フランスの侯爵、エルヴェ・ド・サン・ドニは、夢の研究を行い、入眠時心像を絵画として表現しました。
当時としては非常に斬新な試みで、夢をコントロールしようとする姿勢も話題になったそうです。


ダリが眠りから得たインスピレーション

20世紀初頭のシュルレアリスムの画家、サルバドール・ダリも、入眠時心像に強い関心を持っていました。
代表作「記憶の固執」に見られるような、溶けた時計のモチーフも、うとうとした状態で得たイメージから生まれたと言われています。

ダリは、椅子に座ってスプーンを指に挟み、わざとウトウトすることで、眠りに落ちる瞬間のイメージを記憶しようとしていました。
スプーンが落ちる音で目覚め、その直前に見た心像を絵に描く——まさに、眠りと芸術の融合ですね。


良い夢は、良いインプットから

夢は、眠っている間に記憶を整理する過程で生まれるもの。
つまり、創作のひらめきには、日中のインプットが大切だということです。

芸術家でなくても、好きな絵や音楽を生活に取り入れてみると、
もしかしたら、心地よい夢が見られるかもしれません。


秋の夜長、芸術に触れて、心を整えて、ぐっすり眠る。
そんな時間が、きっと明日の自分をもっと豊かにしてくれるはずです。